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 「神父様!」

 あれから彼女は、事あるごとに神殿を訪れる。

 ナターシャといい、門は誰にでも開かれているとは言え、うちは休憩所ではないのだが。

 彼女の作る薬はかなり良質だった。俺もそこまで不器用ではないが、やはりプロが作るとなると格が違う。ほかにも気つけや毒消しなど、戦闘や日常生活に使えそうなものは一通り揃えてみた。

「これは惚れ薬でございます」

「さすがにそれは神殿には不要ですねえ」

「あら、神父様が個人的にお買い求めになっても宜しいんですのよ」

 そう言ってころころと笑うアデリア。

「それに、神父様は眉目秀麗でいらっしゃいますから、口にするものにはお気を付け下さいませ」

「ははは、ご冗談を」

 彼女の差し出すものを一通り吟味してみる。と言ってもひとつひとつ舐めて回る訳にもいかないので、半分は客が飲んでみてのお楽しみだ。

 ほかの人にも話を聞いてみたが、魔女の市民からの印象はあまり良くないらしい。何でも、挨拶代わりに腐った牛乳を配ったり、窓から部屋を覗き込んだりしていると言うのだ。

(もしかしたら、「悪い魔女」のほうなのかも知れないな)

 今見た薬におかしいところは見当たらない。それにせっかく人手があるのに使わないのも惜しい。それでも念のため、納品された薬は冒険者にだけ売り、町民には自分で作った薬を売ろうと思った。

「それと毒消しなのですが、材料を集めてからになりますので今しばらく時間がかかります」

「では私も手伝いましょう」

 毒消しの材料となるシアル草なら、ダンジョン中層で手に入る。わざわざ冒険者に頼むほどのものではない。

「慣れない土地でしょうし、群生地を紹介しますよ」

「まあ! デートというわけですね。嬉しいですわ」

 彼女の実力を見極めるいい機会だったので、デートでも何でもいい。俺はハハハと笑って返しておいた。