カタルシスプログラム
論理でカタルシスを作る研究をしています。
恋愛理論(例)
2023年10月25日、トランスジェンダーが戸籍上の性別を変更する際、生殖能力を失わせる手術を必要とする「性同一性障害特例法」の要件が、憲法に違反するという判決が下りた。 2010年にはタブレット端末を始めとするスマートフォンが発売され、2020年にはバーチャルリアリティ、メタバースという技術革新が行われ、さらにコロナ禍以降は自宅で仕事をする「リモートワーク」と言う働き方が当たり前になり、近未来SFの世界に入り込みつつある我々はついにさらなる未来へと足を踏み出した。 この決定の意味するところは、「戸籍の性別で性器の有無を知る事が出来なくなる」と言う事である。(※正確には、まだMTFの外観要件については審理中である) つまり、相手の保険証や自動車免許を奪っても、ちんちんやまんこが付いているかどうかを判断できない。 これは、「戸籍」によって相手の性器を判断し、差別する事が出来なくなったと言う事でもある。つまりこれからは、人の性別はみな自分の意志の下で変更できるようになると言うことなのだ。これが、トランスジェンダーがどれだけ生きやすい社会になったかを表している。
そもそも、トランスジェンダーとは何か
「LGBT」などと一括りにされているが、「LGB(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル)」が「恋愛対象」を表すのに対し、「T(トランスジェンダー)」だけは意味合いが少し違うという事をまだまだ理解できていない人が多いので少し説明したいと思う。まず、一般に「トランスジェンダー」と言っても、2つのレベルの人がいるのだ。
そもそも「ジェンダー」とは、「社会的な性別」と言う意味である。人間には身体的な性別の方に、社会的(文化的)な性別があり、「戸籍」などもこれに当たる。男性でも女性でもない「Xジェンダー」と言う人達もいるが、一般的に人は「どちらか」の性を自認していることが多い。これは、生まれてすぐ(3歳頃)に自覚する場合もあるが、「違和感」として悩み続ける人も沢山居る。どのように自覚するかと言うと、子供は幼稚園に入る頃になると、自然と男女で考え方や思考が分かれていくものだ。これは脳の発達が男女で違うからであり、その性別は母親の胎内ですでに決まっていると考えられている(これを脳の性分化と言う)。この「脳の性分化」と「性器の性分化」の時期の間に、母体のストレスや化学物質などが影響してホルモンが乱れると脳の性と体の性が合致しない「トランスジェンダー」が生まれると一般に考えられている。子供たちの性自認は4歳頃から始まっていくが、その頃から「集団に馴染めない」といった障害が生まれてくる。周りの子が自然に好きになるものや自然に行動できる事が理解できない・分からない……こういった悩みを持つ事が増え、疎外感を感じるようになってくる。これが長期に渡って続き、思春期や大人になってもなお苦しんでいる人々を「トランスジェンダー(性別違和)」と呼ぶことが多い。また、トランスジェンダーは発達障害と併発する事も多く、誤診されている可能性も含め、その原因はまだ不明であるが、シス(一般の)男女とは脳が違うのだという事をまず念頭に入れるべきであり、これらは決して好き好んで発症したものではない。このような悩みは「性同一性障害(性別違和)」と呼ばれ、一種の「適応障害」と呼ぶ事もできるが、現代では精神疾患の分類からは外れており、「身体障害」として分類されている。但し今後「脳の性別を変える薬」が発明される事があれば、また「精神疾患」に分類され直す可能性もあるかも知れない。そして、トランスジェンダーの治療として最も有効なのが「戸籍の変更」だ。社会的な性別を変更するだけで生きやすくなる人は沢山いるのだ。
そして、この「トランスジェンダー」が、もっと強く発現すると、「トランゼクシャル」となる。自己の性器そのものに嫌悪感があったり、ないはずの性器があるように感じたりする。こういった人々はこれからも性転換手術(SRS)を行うだろうが、そこまでの強い嫌悪感のないトランスジェンダー達にとって、「身体的な性別を変更しなければ社会的な性別が変えられない」という制度は本末転倒であったと言える。
手術要件の撤廃で困る人々
さて、今回の決定で変わった事が「戸籍の性別で性器の有無を確認する事が出来なくなった事」だと書いたが、このことで最も困るのは婦人科医や泌尿器科医などである。今までは保険証の性別で男女の性器の有無をある程度把握できていたが、これからは別途記入していく必要があるので大変だ。しかし、彼らから手術要件撤廃反対の声が上がったのを聞いた事はない。次に困るのは子宮がんなどの健診を行う市役所だが、これも反対の声は聞かない。彼らもまた戸籍とは別に身体の性別を把握するデータベースを作る必要があるだろう。そして銭湯や旅館など、性器を露出する公共施設の経営者だ。彼らもまた独自の分類ルールを作って混乱を収める必要があるだろう。しかし、反対の声を上げているのを聞いた事はない。反対の声を上げているのはその利用者のシス女性達であるが、公共施設のルールはその管理者が決める事であり、戸籍の性別によって決まるものでは全くない。戸籍で分かれているのはせいぜい公立の中学校や高校の更衣室くらいである。私も銭湯を利用した事があるが、保険証などで性別を確認された事はない。つまり戸籍の性別と銭湯は全くの無関係であり、そこで起きたいかなるトラブルもその責任は国家や憲法ではなく施設の管理者にあるのであって、制度を反対する正当な理由には当たらずまったくお門違いに他ならない。女性用トイレなどは性器を露出しないため最初から論外である。 また、彼女たちは失念しているが、今回の決定によって減る犯罪者もいると私は思う。それは「女性であることを良いことに女性に性犯罪を行うFTM」たちである。FTMとは、体や戸籍は女性だが男性の脳を持って生まれた人達の事で、ラットの実験では彼らはオスと同様の性行動をしたと報告されている。特にテストステロン投与をしているFTMの性欲はシス男性と何ら変わらないのだ。つまり"彼ら"が犯罪を犯す理由として「戸籍が女性であるから問題ない」と言う理論が通じなくなり、また女性たちもそれで納得したり泣き寝入りする必要は全くなくなるのである。「戸籍」と言うものの効力が弱くなり、それを理由に性犯罪を正当化したり免罪する人達が減っていき、戸籍の性別を言い訳に社会が混乱することを避けることが可能なのである。(もちろん性犯罪をする為だけに性別変更をしないFTMが存在する可能性は否めないが…) 今回の決定で懸念されるべき事項は子宮頸がん検診などを受けられないFTMが出てくるかもしれないことや、結婚したい同性愛者がトランスジェンダーと偽ってむやみに性別変更をする可能性である。これについては追って同性婚が認可される事で解決するだろう。
感想
おっぱいの付いた男性や、男性が妊娠したり、ニューハーフと言ってペニスの付いた女性などは昔から少数ではあったが報道・見世物化されてきた。これからの未来、彼らは報道されるような異物ではなく、「当たり前の人間」として受け入れられていくのだろう。 今回の決定の中、ネットで反対している人達を見て悲しい思いがある一方、彼女たちのような「一般の人」が、「もしかしたらトランスジェンダーがお風呂に入ってくるかも知れない」と、トランスジェンダーの存在を間近にリアルに感じ取った事がまず多様性へ一歩前進したと言えると考えている。こうして衝突や軋轢を繰り返しながら共存と多様化への道を辿っていく。私たち日本人ならそれができると信じている。
しかし、今回の一連の報道はいささか皮肉でもあるのは確かだ。そもそもトランスジェンダー達は、性器も含め、今現在の日本のジェンダー観(ペニスがあるのが男、等)の中で、「ジェンダーだけ変更したい」と言う、一種「詐欺」まがいの望みを持っていたのだが、それがいざ正当化され、しかもそれが報道されたことで、日本人の中の「ジェンダー観」が変わり、「戸籍の性別はアテにならない」という価値観に変わってしまったのだ。つまり、もう、生きるために詐欺を働く必要がない、ジェンダーを変更する必要がないと思うかも知れない。障害とは、本人の周りを取り巻く価値観で決まるものなのだから。
幼少期の過度なストレスとその対処法から始まる各種パーソナリティ障害について
事件からまだ3年しか経っておらず、犯行動機もまだ明瞭に覚えているでしょう。
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なぜ発達障害者が己を障害者だと認めたがらないかというと、発達障害には一種のカタルシスがあるからだと思う。ナルシストは自分が美しく見えてしまう病気だが、それを治したいとは思わない。発達障害も、"正確に社会を捉えられないこと"に対するひとつの優越感のようなものがある。 #発達障害あるある
お化け屋敷で怖がっている人々をあざ笑うような感覚がつねにある。
https://www.pixiv.net/artworks/81070048
目さめたら
赤い薔薇
中学の頃の同級生からメッセージが届いた。
頭のおかしいやつで、ずっとニートをして暮らしているクズだ。
そのメッセージには「リーキーガット症候群」「副腎疲労症候群」「SIFO」などと病名が並べ立てられていたが、消化器科の父に聞いたところ「そんな病気は存在しない」ということだった。
つまりこいつは嘘つきで、やる気がなくて、甘ったれのクズ野郎で、相手をする価値もないのだ。
私の家は小さい頃から厳しく、あいつの家のように好きなことをできる家風ではない。引きこもれる家があるだけ羨ましいと言うものだ。もし私にそれが許されるのなら、あいつのように何の稼ぎもなく遊び耽らず、相応にデビューし、しっかりアーティストとして稼いで見せるのに。なんにせよ、あいつはせっかくのチャンスをモノにできない腹の立つ人間なのだ。
「発達障害」だと書いてあったが、あいつは成績優秀で生徒会長までやった奴だ。発達障害なんかのはずがないだろう。
私は私で毎日の仕事と、空いた時間の趣味で忙しいのだ。こんな奴に構っている暇は一秒もない。
はずなのに、なぜ私はこの男と二人でディズニーランドなぞに来ているのか?
答えは簡単だ。私みたいなお堅い人間と二人でディズニーランドに来たがる男はいない。だが、私は本当はこういうものが大好きである。だから…だから、つい誘いに乗ってしまったのだ。
「ふふ、礒沼さん、可愛いですね」
無理矢理カチューシャを付けられてそう言われ。私の顔は真っ赤になっていることだろう。
「こんなところ、職場の人にでも見られたら死ぬ」
「大丈夫、ここには知り合いはいませんよ」
なぜこの男が私の好みを知っているのかも分からないし、なぜ私を誘ったのかも分からないが、とにかくこの時間は不快ではない。むしろ、夢のような時間であった。
(何か壺とか売りつけられたりしないだろうな…)
私は恐る恐る切り出すことにした。
「それで…今日は何の用だったんです?」
「え?」
「お金はないし、何も買う気はないですよ」
それとも、男女の関係でも期待してる? それも、一夜限りの。
私たちもいい年だ。その可能性はゆうにあり得る、と思った。むしろ、久々に女友達を誘う目的って、それしかないだろう。
「あー…そうですね…礒沼さんのお父さんって、消化器科の先生ですよね?」
「そうです」
「あの…良かったら健康相談に乗ってもらえないかなって」
「前も言いましたけど、そういったことは主治医に相談して下さい。あとから難癖付けられても困りますので」
「じゃあ、なんで今日来たの?あなたはずいぶん楽しそうに見えたけど。そのお礼にちょっと話くらい聞いてあげるだけだと思えば良いじゃない」
「…私、責任とか持てませんからね?あと、他言無用でお願いします。後々問題になりたくないので」
「礒沼さんはぼくを何だと思ってるのかなあ。そんな信用ないですか」
ないですよ。
私は無言でそう言いたげに見つめたが、彼は気付かないまま、鞄から1冊の本を取り出した。
それは新書で、『発達障害は食事で治る!』と書いてある。
「これ、差し上げますから読んで下さい。それで、医療関係者から見た感想を伺いたくて」
「これは?貴方が書いたんですか?」
「だからあなたはぼくを何だと思ってるの?僕はそんな大層なことはしません。ただちょっと困っているひとりの患者なだけです」
私は本を受け取る。
「この本の内容はまだ医学界に浸透していないらしくて、賛否両論と言われているみたいなんです。でも、素人には何が正しいのか分からないし、インターネットの情報も信用できないから。あなたしか頼れる人がいなくて。だから、お願いします」
そう言われると、こちらも断りづらくなってくる。
「あ、ねえ、グーフィーと記念撮影できるみたいです。行きましょう」
「あっ、ちょっ…もう、仕方ないなぁ」
でも今はとりあえず、この時間を楽しみたい。
+++
本の内容は大体こんな感じだった。世界には「発達障害」という障害があり、それは腸の慢性疾患を引き起こしやすい。そして腸の疾患から免疫が低下し、アレルギー症状が起き、そのせいで「コルチゾール欠乏状態」になる人がいる。そうなると機能性低血糖や月経困難症など、原因不明の不調に悩まされる。それを治すためには、ビタミンDやビタミンB、そして低糖質食が大切であるという話だった。
(——つまり、彼はこの病気とずっと一人で戦ってきたという事?)
私はずっと彼のことを誤解していたのかもしれない。
「読みました」
次の休日。私は彼に本を返しながら伝えた。
「読みましたか?ありがとうございます。それで、どうでした?」
「大変興味深い内容でした。恐縮ながら、不勉強でして、真偽の程は分かりかねます」
「そうですか。いえ、読んでいただけただけ、僕は嬉しいです」
彼は本をしまった。
「これでもずいぶん良くなったんです。いま、仕事を探していて、なにか僕でもできる仕事、知りませんか?」
「ないですね」
「家政婦とか雇う気ありません?両親ともに要支援、要介護で、もうお金がないんです。頼れるのはあなたしかいなくて…」
ここで、「生活保護でも受けとけば?じゃあ、さよなら」と言えるほど、私は鬼じゃない。
とくにこんな可愛いお店に連れて来てもらっておいて、そんなことは言えない。かと言って紹介できる仕事がないのも事実だった。
「礒沼さん」
彼の声で顔を上げる。彼の見せたスマホには、私の裏垢が表示されていた。
「これ、あなたですよね」
「………っ!」
かああああっと、顔が熱くなる。
私がコスプレしていることは、親姉弟も知らないのに、なぜこいつが知ってるのか?
「…なにが目的です?」
「いえ、目的なんて特にありませんよ。でも、もし良かったら、また僕とこうして遊んでもらえませんか。僕、礒沼さんと友達になりたいんです。改めて。だめですか?」
「………えっ、と」
「大丈夫。このことは誰にも言いません。僕、友達いないんですよ。ね?お願いします」
この時私はあろうことか、この男ならあの服を着た私のことを褒めてくれるのではないかという、ある種の劣情が過ってしまう。
この男を利用しても良いんじゃないかという、そんな自分の思惑に気付いて、私は背筋が凍った。
+++
「わぁ…すごく可愛いです。童話に出てくる魔法使いみたいです」
次の休日、私は思い切って可愛らしい恰好をしてみた。とまよこは何でも褒めてくれる。分かっているけど確かめてみたくて、実際褒められると電撃を浴びたように嬉しくなってしまった。
(写真を見られるのと、生で見られるのとじゃこんなに違うのね…)
彼の視線を浴びるたびに、自分の体の敏感な部分まで見られている気がして、思わず浮き足立ってしまう。
今日は彼の家に来ているのだ。
もちろん、「そういう目的」なんかじゃない。あくまでも作業療法士として、彼の自律神経などの状態をチェックしてあげるだけである。
彼の部屋はガランとしていた。本棚も何もなく、ただクローゼットと机があるだけだ。
「じゃあ、うつ伏せになってください」
言われた通り、彼はベッドにうつ伏せになった。
私は神経と筋肉の様子を探る。確かにガチガチに固くなっており、こんなに固い人は見たことがないくらいだった。
「ガチガチに固くなってますね」
「あ…はい」
「ここ、感じますか?」
「えっと…は、はい」
「もしかして緊張してる?力抜いて良いのよ」
「………っ」
ちょっと悪戯心が沸き、彼の腰を擽る。すると「ひっ」という声とともに体が跳ねた。
「い、礒沼さん、真面目にやってくださいよぉ」
「あら、ごめんなさい。そんなに嫌だった?」
「………嫌じゃ………ない……から困るんですよ」
「え?」
「礒沼さんって、彼氏いるんですか」
「………彼氏はいませんが、好きな人ならいますよ」
彼の顔はよく見えなかったが、きっと赤くなっているに違いない。
「そう…ですよね。すみません、変なこと聞いて」
「………いえ。じゃ、前も診るので仰向けになって下さい」
「は、はい…」
私はそのまま何も言わなかった。
結局向こうからは指一本触れられぬまま、その日は別れた。
+++
それからと言うもの、彼からのメッセージが来ていないか常に気にするようになってしまった。
一日に少なくても3回は確認してしまう。
「また会いたい」という思いがぐるぐると頭を巡る。
(どうしよう、こんなこと初めてだ。どうしたら良いのか分からない………)
寝ても覚めても、仕事中も考えてしまう。今まで恋と言うものを避けてきたぶん、その反動は大きかった。
(我慢できない…もっと見て欲しい。もっと一緒にいたい)
気付けばまた彼の家の前に来ていた。
無理矢理上がり込みたいくらいの気持ちを抑えてチャイムを鳴らす。
彼はいつもの優しい笑顔で出迎えてくれた。
「礒沼さん…?」
「ごめん、迷惑だった?」
「と、とんでもない。さあ、上がってください」
+++
「今度、お見合いすることになったの」
お茶を飲む彼の手が止まる。
「…あ、それは、おめでとうございます」
「まだ結婚が決まった訳じゃないから」
「もしかして、行きたくないんですか?」
「………」
「何だったら僕、彼氏のふりでもしましょうか?」
違う。そうじゃない。
そこまで言っておいて、なんでその先を言ってくれないのよとじれったくなる。
「じゃあ、お願いしようかな」
「やった!ご両親にご挨拶の準備をしないと」
「…ねぇ」
私は低い声で尋ねた。
「私のこと、好き?」
「……えっと」
「恋愛的な意味で好きでしょう?」
「は、はい」
「じゃあ、なんで付き合ってくれって言わないの?」
「だ、だって、礒沼さんは僕のことが嫌いだから………」
彼はしょんぼりと項垂れた。
確かに、前は嫌いだった。クソ野郎だと思ってたし、嫉妬していた。
けどいつの間にか頭から離れなくなって、会えば会ったで嬉しさでどうにかなりそうになる。
そのうえ、こんな顔を見せられたら、私だって有頂天にもなる。
「じゃあ、私と結婚するのは嫌?」
「えっ、け、結婚ですか!?」
「あなたとならしてあげてもいいけど?」
「え、えええ!?」
「何よ。嬉しくないの?」
「う、嬉しいと言うか、頭の処理が追いついてないです」
「ふーん。嬉しくないんだ」
「嬉しいです!!!嬉しくてどうにかなりそうです!」
彼は立ち上がって私の肩を掴んだ。
「ねえ、りゃんシー。今日の下着、どんなの履いてるか見たい?」
「………っ!!!」
「見たくないの?」
「そ、そのまえに結婚しませんか!?ほ、ほかの人に、そういうこと言わないでほしいから………!」
彼が真剣な目で見つめてくる。
燃え上がった恋心は、もう誰にも止められなかった。
「ダメよ」
「ど、どうして?」
「ここ、ガチガチに固くなってるもの」
こうして彼の永年雇用先が決まった。
礒沼は実はチョロいという設定(ツンチョロ
これBLでもいけるんちゃうかな 女装趣味にすれば
ただ、男らしい女が内面全然違ったみたいな百合はおいしいのでそこをもっとかくかも
あと体調良くなったら私はお払い箱なの?という話を
0:飲食店の入り口から店内に入る佐藤。
店員「いらっしゃいませ!1名様ですか?」
0:頷く佐藤。店員は店を見渡して申し訳なさそうな顔をする。
店員「申し訳ありません、只今満席になっておりまして、相席でしたらご案内できます」
佐藤「アッ…ハイ…じゃあそれで」
0:席に案内されると、目の前にとまよこがいる。とまよこは定食を食べている。
佐藤「りゃんさん?」
0:名前を呼ばれて顔を上げるとまよこ。
とまよこ「…おおーお久しぶりです」
0:席に着く佐藤。
佐藤「ゴメンね、すっかり連絡しなくなっちゃって。元気してた?」
とまよこ「はい。お陰様で小さい会社ですが就職できました」
佐藤「おぉ~!! 良かったじゃ~ん!! やっと体調戻ってきたんだね~!!」
とまよこ「障害者にも割と理解ある会社で良かったです。美味しい食堂も近いし…」
佐藤「私もここ、気に入ってるんだ。無添加で体に優しいよね」
0:メニューを見る佐藤を見るとまよこ。
とまよこ「僕がいること知ってて入ってきたんですか?」
佐藤「え?」
とまよこ「なんて、冗談です。あ、どうぞ注文してください」
0:店の外に二人で出る。
店員「ありがとうございましたー」
佐藤「とまよこさん、用事あるんでしょ?別について来なくていいよ」
とまよこ「用事なんてどうでもいいですよ。せっかくだからもっと話しましょうよ」
0:佐藤、困った顔をする。
佐藤「ごめん、私は用事あるから、またね」
とまよこ「待って、莉央さん」
0:手を掴むとまよこ。
とまよこ「莉央さんさえ良かったら、また連絡してほしいです。僕、ずっと待ってるので」
0:佐藤、複雑な顔をして手を振って去る。それを見送るとまよこの背中。
0:佐藤のマンション。お風呂から上がり、LINEの画面を開くと、とまよこの欄が「このユーザー名は削除されました」と表示されている
佐藤(もしかして…ブロックされてる?)
佐藤「『いつまでも待つ』って言ったくせに、ヘンな人だなぁ」
0:弟が入ってくる。
弟「姉ちゃん、ご飯まだ?」
佐藤「!あ、うん。今行く」
0:佐藤、慌てて立ち上がる。
0:リビングには弟、妹、父、母が。
母「ほらっ、なにぼさっとしてるの。私明日も仕事なんだから」
佐藤「私だって仕事なんだけど…」
母「あなたはまだ若いじゃないの!それにすぐそこなんだから通勤時間もないし。まったく、誰が生活費稼いでると思ってるのよ」
妹「お姉ちゃん、私冷めたご飯嫌だって言ってるよね。つぎ直して!」
佐藤「はいはい…」
0:新聞を読む父。
0:佐藤家遠景。
0:保育所。赤ちゃんが泣き出す。それをあやす佐藤。
佐藤「うんうん、怖かったね」
子供「せんせぇ、かんなちゃんがトランポリンどいてくれないの!」
子供2「ねぇなんでぶつのー!?」
子供3「おかあさぁぁあああん!!!」
0:夕方。保育所外。
保育士1「お疲れー」
保育士2「お疲れ様です」
佐藤「おつかれさまでーす」
保育士1「あの…佐藤さん」
0:振り向く佐藤。
保育士1「今日飲みに行きませんか?2人で」
佐藤「えっと…ご、ごめんなさい」
保育士1「いや、これはデートとかじゃなくて、コミュニケーションのひとつです。佐藤さんすぐ帰っちゃうし、もっと仲良くなりたいと思って。ね? 奢りますよ~!」
0:過去回想。高校の頃など(小学校でも可)。
女子「ちょっと美人だからって、自意識過剰すぎじゃないの」
男子「お高くとまってんじゃねえよ、ブス!」
0:回想終わり
佐藤「あ…えっと…い、1回だけなら」
保育士1「本当ですか!?嬉しいな。じゃあ、行こう!」
0:手を掴まれて引っ張られる佐藤。
0:佐藤は青い顔をしている。
0:着いたのは高級寿司屋。寿司屋の前にいる二人。
佐藤「えっ、ここですか?」
保育士1「はい。すごくウマいっすよ」
佐藤「でも、すごく高いですよね…」
保育士1「大丈夫、全部奢りますんで」
佐藤「こういう所は入れません。奢っていただくのもやめて下さい」
保育士1「なんでだよ? いつもニコニコしてんのに、なんで俺の前でだけそんな怒るワケ? 不公平じゃん」
佐藤「あなたは幼児じゃない! 保育士でしょう!?」
0:大きな声を出す佐藤。
保育士1「一回だけで良いから飲もうよ!」
0:腕を掴まれ、無理矢理連れ込まれそうになる佐藤。
佐藤「困ります! 私、何も食べません!」
とまよこ「あれ、佐藤さん。こんばんは。何してるんですか、こんな所で」
佐藤「とまよこさん」
とまよこ「あ、デートですか? すみません、邪魔しちゃって。それにしてもいいお店行ってるんですね。お寿司お好きなんですか?」
佐藤「いや、そうじゃなくて」
0:保育士1がとまよこを睨みつける。
とまよこ「確かに佐藤さんの好みじゃありませんねえ。佐藤さん、ベジタリアンですし」
保育士1「えっ?」
とまよこ「あれ?ご存じないんですか?彼氏さんなのに…ああ、彼氏じゃないのか。佐藤さん、また変な男に言い寄られてるんですね。ご苦労様です。予約してあるのに入らないんなら、代わりに僕が入ってもいいですか?一度食べてみたかったんですよね。莉央さん、僕となら入ってくれます?」
0:保育士1ととまよこを見比べる佐藤。おずおずととまよこの隣に並ぶ。
保育士1「ちっ、ブスが」
0:去る保育士1。
とまよこ「…僕、すごく余計な事しましたね…本当にすみません。職場の方ですか?」
佐藤「そうだけど」
とまよこ「明日から職場が気まずくなるやつじゃないですか。ベジタリアンとか変な噓ついちゃったし…やだなぁ」
佐藤「ふふふ…」
とまよこ「なんで笑うんです?」
佐藤「だって…自分が出勤するみたいに言うから」
とまよこ「…僕、こんな高い店入れません。せいぜい卵焼きくらいしか食べられません。当然莉央さんを奢ったりすることも出来ないです。だからもう、帰ります。この間はごめんなさい、へんな事言いました。忘れてください。じゃあ…」
佐藤「待ってよ」
0:とまよこの腕をつかむ佐藤。
とまよこ「何か?」
佐藤「私が奢るよ」
とまよこ「いえ、お気になさらず。ただでさえ僕はあなた方の納めた税金を使わせてもらってる身ですので。僕に奢るなら税金納めてください。ではまた機会があれば」
佐藤「私、好きなの。ずっと前から! りゃんさんの事!」
とまよこ「…は?」
佐藤「高校の入学式から気になってたの! あの、正直言ってタイプです。さっき助けてくれた時もカッコよかった…から…あの…ご、ごめんなさい。急に変なこと言って。困る、よね」
0:手を離す佐藤。
0:しばらく沈黙。
とまよこ「…実は。大通りから着けてて。莉央さんが男と二人きりで歩いてて。居てもたってもいられなくなって。実を言うとこの町に就職したのも、あなたに会えるかもっていう下心があって」
佐藤「下心って?」
とまよこ「…莉央さんと二人で…飲みに行ったりしたいです」
0:目を合わせずに口をとがらせるとまよこ。
佐藤「良いですよ」
とまよこ「えっ」
佐藤「何回でも行きますよ」
0:顔がほころぶとまよこ。
佐藤「りゃんさん、顔真っ赤」
0:店の中に入る2人。
<end>